酒林堂

酒林堂 無事に幕を閉じました

ずいぶんと久しぶりのブログになってしまいました。

先日、松江市主催の怪談朗読劇「酒林堂」の公演が、当山の本堂にて三部制で執り行われ、無事に幕を下ろすことができました。

気がつけば、10年目

今回で、「酒林堂」での開催はちょうど10年目を迎えました。

数えてみて、正直なところ驚きました。最初にお話をいただいたときのことを、つい昨日のように思い出すのですが、その間にずいぶんと長い時間が過ぎていたのだなと、しみじみとした気持ちになります。回を重ねるごとに少しずつ形を変えながら、こうして続けてこられたことを、まずはありがたく思っております。

本堂が、劇場になるまで

公演の日が近づくと、本堂はいつもの静けさから一変します。

ご本尊さまの前を残して、仏具や経机を一つひとつ移動し、ありったけの座布団を運び出し、それでも足りずに椅子を並べ、さらに大きな音響機材を搬入して——。普段は法要の場である本堂が、少しずつ「劇場」の顔になっていく。この作業がなかなかに骨の折れるもので、毎回、当日を迎える頃には皆すっかり汗だくになっております。

この公演は声優さんをお招きし、プロの音響も入っての、これまでにない規模の大公演でございます。本堂に配置されている機材の量にも驚きますが、本番で音が本堂に響いた瞬間、この空間がこんな鳴り方をするのかと、思わず息をのみます。

大変ではありましたが

会場主という立場ではありますので、当日は落ち着いて座って観るというわけにはまいりません。それでも、公演を間近で見られる贅沢さ、そして来場者の皆さまの反応を直に見られる喜びは、何物にも代えがたいものでした。

暗くなった本堂で、皆さまが息をひそめて語りに聴き入っている。あの張り詰めた静けさは、法要の静けさとはまた違う種類のもので、なんとも言えず良いものでした。準備の大変さも、あの光景で帳消しになってしまいます。

大変ではありましたが、私自身、誰よりも楽しませていただいたように思います。

最後は、般若心経で

最終公演のあと、会場主として、お越しくださった皆さまへご挨拶を申し上げました。

そして最後に、般若心経をお勤めし、お清めをさせていただきました。

怪談という、少しばかり日常から離れた時間を過ごしていただいたあとに、こうしてお経の声で場を清め、皆さまをお送りする。お寺で開かれる公演ならではの締めくくりだったのではないかと思います。読経の間、静かに手を合わせてくださる方の姿もあり、なんともありがたい時間でございました。

ありがとうございました

ご出演の皆さま、音響をはじめとするスタッフの皆さま、主催の松江市の皆さま、そして何より足をお運びくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。

本堂はすでに元通り、静かないつもの姿に戻っております。けれどもあの夜の声と音の余韻は、まだどこかに残っているような気がしてなりません。

またこの場所で、皆さまとお会いできる日を楽しみにしております。

合掌